ソフトイオン化質量分析計
AirSense
複合ガス成分の高速リアルタイム分析
ソフトイオン化質量分析計 AirSenseは、一台で幅広いガス成分を検出するフレキシビリティと信頼性、頑丈さを兼ね備えた最新のソフトイオン化質量分析計です。 イオン分子反応(IMR)を利用しているため、他の質量分析計に比べて、高速レスポンス、幅広い応答レンジ、選択的な測定、低濃度域の検出限界などの多くのメリットを提供します。 自動車排ガス分析、環境中の微量VOC分析から、医療における呼気ガス分析、食品のフレーバーリリースの解明に至るまで、様々な分野におけるガス分析に応用されています。
AirSenseの特徴
- 複合揮発成分
- 希ガス成分
- 脆弱な分子
有機と無機の両成分を同時(オンラインまたはオフライン)に検出可能
- 脂肪族化合物、芳香族化合物、アルコール、アミン、アルデヒド、ケトン カルボン族、無機酸、塩基
例)二酸化炭素、酸素、窒素、水、メタン、イソプレン、アンモニア、一酸化窒素 アセトアルデヒド、アセトン、アセトニトリル、エタノール、プロパノール ベンゼン、ジエチルエーテル・・・
フラグメンテーションを起こしにくく、分子イオンピークが検出されやすい。
検出感度に優れる:サブppb ~ Vol%
高速モニタリング: 1massにつき1msec以上
IMR-MSの原理
幅広いアプリケーションにおける特定のニーズに応えるために、 AirSenseシリーズはイオン分子反応(IMR)の測定原理を利用しています。 IMR技術を用いることによって、測定は高速かつ選択的で、他のイオン化法とは異なり、フラグメンテーションやスペクトルの重なりがほとんど見られないため、
検出される結果の解釈を容易にします。
IMRは、低エネルギーレベル(10 eV~14 eV)でのプライマリイオンを用いて、サンプルガス成分を完全にイオン化します。 S/N比は、一体化した八重極セパレータによって、
プライマリイオンをフォーカスし、あらゆる干渉を除去することで最適化されます。その後、四重極マスフィルタ(7~519 amu)で分子を分離し、高速パルスカウンターで検出を行います。
定性および定量的な分析
廃棄物処理プラントにおける大気監視(定性的な分析)
バイオフィルタの効果測定(定量的な分析)
GC-MSとIMR-MSの特徴の比較
GC-MS | IMR-MS | |
---|---|---|
対象測定物質 | 類似した化学特性のみ | 異なる化学特性をもつ複合成分の同時分析が可能 |
成分分離 | あり | なし |
直線性 | 濃度範囲に限界あり | <0,001ppm~Vol%(105)の広濃度範囲で直線性あり |
前処理 | 低濃度の検出には必要:時間を要する | 不要 |
オンライン分析 | 不可能 | 1成分あたり1msec以上のオンライン分析が可能 |
分析時間 | 10分~60分 | >1msec/成分(検出濃度に基づく) |
注入方法 | 液体、ヘッドスペース、または濃縮成分のスタティック注入 | ガスまたは濃縮成分のダイナミックヘッドスペース注入 |
キャリアガス | 必要 | 不要 |
アプリケーション
自動車分野|触媒前後における排ガス, 燃料電池ガス, 車室内VOC・・・
AirSenseは、シャーシダイナモやエンジンベンチのほか、通常の走行状態における自動車からの、生の排ガスあるいは希釈された排ガスのリアルタイム測定に有用です。
- 車室内VOCのリアルタイム分析
- 自動車産業における排ガス分析
- FT-IRと比較したIMR-MSのメリット
- AirSenseによる触媒前後の高速ガス分析
- 排ガス中の各種炭化水素に関する直接連続モニタリング
- エンジン排気ガス中のアンモニアとNOXの測定
- FCV用水素の純度分析(ISO14687-2)
- 燃料電池ガスと排ガス分布モニタリングのための圧力、混合ガス独立希釈システム
- 高速・低エネルギー2次イオン質量分析計によるガス成分のインライン分析
- Twin-MSによる触媒前後におけるDeNOx反応の炭化水素と窒素化合物の連続モニタリング
- オクタンレベルの異なるガソリンに関する排ガス中のブタジエンおよびBTXの比較研究
- 大型車両用ディーゼルエンジン中の低濃度SO2の定量
- 未規制炭化水素のリアルタイム測定
- DeNOx触媒のアンモニア測定
- ディーゼルエンジンのNOx測定
- 脱硫黄の測定
- 燃料電池のガスマトリックス中の個別ガス測定
環境・化学分野|ガス, 代替エネルギー, セメント, 鉄鋼, ポリマー, ゴム・・・
様々な工業プロセスにおいて、複数の特定分子の高速オンラインモニタリングは、従業員や環境を保護し、プロセスパラメーターを調整するのに重要です。
- ハイドロメタン燃焼におけるエミッション削減
- ガス化プロセスの監視
- 燃料電池のガス分析
- リアルタイム複合ガス分析装置によるリチウムイオン電池(LIB)の発生ガス分析
- 二酸化炭素の回収・貯蔵、利用
- 水素製造の品質分析
- エラストマーからの無機・有機化合物の蒸発
- タイヤ用ポリマー製造におけるプロセスモニタリング
- 鉄鋼生産におけるプロセス制御
- 鉄鋼生産時の有害オフガスの監視
- クリーンルームにおける分子状汚染物質(AMC)の連続測定
- 光触媒による室内空気汚染の除去効果の評価
- 幹線道路沿いのベンゼンなど大気モニタリング
- 排水処理施設の揮発成分の定性的・定量的モニタリング
- 煙道ガスや煤煙ガス測定(ガス浄化装置)
- ゴミ焼却プラント(ダイオキシン前駆体の測定)
- 廃物焼却炉でのプロセス管理(カナダ、オーストラリアなどでの実績)
- セメント産業(エミッション - プロセスコントロール)
- 鉄鋼産業(転炉鋼、プロセスコントロール)
- 土壌ガス測定(燃料補給所およびその跡地、地質学ガス研究において)
- 硫黄排出(COS, H2S, SO2, CS2など)のオンライン分析
- バイオ技術プロセスの管理
- 製薬業界(製薬プラント管理)
- 化学洗浄装置
- 大気中の航空機排ガス
- 水・土壌管理(毒性溶媒)
- ガラス工業
- 職場の環境管理
医療分野|呼気, バクテリア, 製薬・・・
- 呼気ガス分析
- AirSenseによる揮発性有機・無機成分のオンライン・オフライン呼気分析
- 非侵襲診断ツールとしての電荷交換質量分析計
- 非侵襲IBD診断の可能性:肺胞呼吸中の揮発性有機化合物(VOC)の分析
- 呼吸中の揮発性化合物(VC)の分析による急性虫垂炎を診断の可能性
- 胃腸や肺疾患などの初期診断
- 職業医学
- たばこ喫煙中の排煙分析
食品分野 | 食品, 飲料, 煙草・・・
食品業界における品質管理の重要性は、食品や飲料中の不純物の問題の増加に伴い、高まっています。 AirSenseでは、液体や個体サンプル中のガス成分の高速かつ柔軟な検査を簡単に実行することができます。また、食品開発では、フレーバーリリースの解明にも有用です。
- リサイクルPETボトルの品質管理
- 二酸化炭素中の有機・無機不純物の高速ガス分析
- 食品や飲料の製造プロセスと包装管理
- フレーバーリリースの解明
仕様
モデル名 | AirSense |
---|---|
技術 | IMR-MS |
質量範囲 | 7 – 519 amu |
分解能 | < 1 amu |
分析時間 | >= 1 msec/amu |
測定範囲1 | 105 |
応答時間1 | T90 < 20 msec |
低濃度検出限界1 | 0.4 ppt |
ドリフト濃度 | < ± 5% 24 h以上 |
再現性 | < ± 3% |
精度 | < ± 2% |
温度範囲 | 20°C - 35°C |
湿度 | 最大 80% (結露なきこと) |
ガス消費2 | 30 - 3000 ml/min |
ガスインレット温度 | 50°C - 190°C (調節可) |
ガスインレット圧力2 | 0.75 – 2 bar(a) |
電源 | 230V/50Hz または 115V/60Hz 800 W |
寸法 (WxHxD) | 534 x 743 x 639 mm |
重量 | 87kg |
1 測定する成分や機器設定によって異なります。
2 ガスインレットシステムの種類によって異なります。
*外観・仕様は予告なく変更することがありますので、予めご了承ください。