CO2純度測定用質量分析計
CO2Sense
CO2のトレース分析と品質管理
二酸化炭素(CO2)の回収・貯留技術(CCS: Carbon Capture and Storage)は、地球温暖化対策として注目されています。 近年、この技術は急速に進展し、さまざまな方法と実用化に向けた取り組みが行われています。
特に、CO2の食品や飲料向け再利用は、持続可能な産業の構築に貢献すると期待されており、 環境面、経済面、技術面、そして社会面で多くのメリットがあります。
しかしながら、食品や飲料向けのCO2には、通常非常に高い純度が要求されます。 例えば、食品用途向けのCO2の純度基準は99.9%以上であり、多くの不純物の含有量も厳しく規制されています。
CO2純度測定用質量分析計 CO2Sense は、食品や飲料に使用される炭酸ガス中の微量不純物の定量を目的に開発されたリアルタイム質量分析計です。 IMR-MSを基盤とし、アンモニアや硫化水素、二酸化硫黄のような無機成分から、ベンゼンやトルエンのような有機成分まで、
1台のユニットで広範囲の化合物を同時に測定することができます。 ISBT(国際飲料技術協会)やEIGA(ヨーロッパ工業ガス協会)、CGA(米国圧縮ガス協会)などで要求されるCO2の品質規格試験に最適です。
飲料に用いる炭酸ガス中の不純物管理
CO2Sense アドバンスト
CO2Sense アドバンスト は、ミネラルウォーターや炭酸飲料、ビールなどの飲料製造メーカーや、 炭酸ガス供給メーカー向けのアドバンストモデルです。サンプルスイッチングモジュールにより、 4~16箇所の測定ポイントの切り替えが可能で、CO2の原料からプロセスライン、最終製品、貯蔵タンク内を一定間隔で測定できます。 また、液化炭酸ガスを揮発させるための気化器もオプションで用意しています。
データは、ワークステーション内のSQLデーターベースに保存され、UPS(無停電電源装置)を装備しているため、 停電時でも安全にシャットダウンを可能にします。エアコンやLCDモニターもオプションで追加でき、限られたスペースでの設置、操作も困りません。CO2Sense アドバンストは、複雑な分析系を組んでいた現行のシステムをよりシンプルにアップデートし、ターンキーで測定から結果までを提供します。
CO2Sense スタンダード
CO2Sense スタンダードは、食品・飲料グレードの炭酸ガスの純度分析に適したエントリーモデルです。ISBT, EIGA, CGAに準拠したメソッドがあらかじめ登録されており、すべての操作は自動化されます。データは、接続したPCまたはPLCシステムに送信可能です。加熱サンプルインレットが付属しており、測定ポイントにはキャスターで簡単に移動が行えます。
主なアプリケーション
CO2の原料、プロセスガスから最終製品に至るプロセスにおいて、CO2中の不純物として有機・無機揮発成分を迅速に定量
主な測定対象成分(ISBT規格成分)
ISBT Compounds | Molecular formula |
---|---|
Oxygen | O2 |
Ammonia | NH3 |
Nitrogen monoxide | NO |
Nitrogen dioxide | NO2 |
Methanol | CH4O |
Total Volatile Hydrocarbons | THC |
Methane | CH4 |
Acetaldehyde | C2H4O |
Aromatic Hydrocarbon Content | AHC |
Benzene | C6H6 |
Toluene | C7H8 |
Xylene | C8H8 |
Total Sulfur Content | TSC |
Carbonyl sulfide | COS |
Hydrogen sulfide | H2S |
Carbon disulfide | CS2 |
Methyl mercaptan | CH3SH |
Sulfur dioxide | SO2 |
Ethyl mercaptan + dimethyl sulfide | C2H5SH |
Dimethyl disulfide | C2H6S2 |
Hydrogen cyanide | HCN |
Vinyl chloride | VCl |
Phosphine | PH3 |
IMR-MSの原理
幅広いアプリケーションにおける特定のニーズに応えるために、 CO2Senseはイオン分子反応(IMR)の測定原理を利用しています。 IMRテクノロジーを用いることによって、測定は高速かつ選択的になり、 あらゆる干渉が入りません。他のイオン化法とは異なり、
フラグメンテーションやスペクトルの重なりが見られず、 検出される結果の解釈を容易にします。
IMRは、低エネルギーレベル(10 eV~14 eV)でのプライマリイオンを用いて、 プローブガスを完全にイオン化します。S/N比は、一体化した八重極セパレータによって、
プライマリイオンをフォーカスし、あらゆる干渉を除去することで最適化されます。 そして、その後四重極マスフィルタ(7~519 amu)で分子を分離し、
高速パルスカウンターでさらに検出します。
*IMR-MSの特徴の詳細や、GC-MSの比較は、AirSenseを参照ください。
仕様
モデル | CO2Sense スタンダード | |
---|---|---|
テクノロジー | IMR-MS | |
質量範囲 | 7 – 519 amu | |
分解能 | < 1 amu | |
分析時間 | >= 1 msec/amu | |
測定範囲1 | 105 | |
応答時間1 | T90 < 20 msec | |
低濃度検出限界1 | 0.5 ppb | |
ドリフト濃度 | < ± 5% 24 h以上 | |
再現性 | < ± 3% | |
精度 | < ± 2% | |
温度範囲 | 20°C - 35°C | |
湿度 | 最大 80% (結露なきこと) | |
ガス消費2 | 30 - 3000 ml/min | |
ガスインレット温度 | 50°C - 190°C (調節可) | |
ガスインレット圧力2 | 0.1 – 1 bar | |
電源 | 230V/50Hz または 115V/60Hz 800 W | |
寸法 (WxHxD) | 534 x 743 x 639 mm | |
重量 | 87kg |
1 測定する成分や機器設定によって異なります。
2 ガスインレットシステムの種類によって異なります。
*外観・仕様は予告なく変更することがありますので、予めご了承ください。